1999
RMD 82261
1. A tu Olvido mas Olvido 2. La Isla Bonita 3. Gata sin Luna 4. Conmigo No 5. Si el Supiera 6. Te Dejo Libre 7. Lagrimas Negras 8. Volvere Alguna Vez 9. La Mujer Latina 10. La Isla Bonita |
レーベルRMMがこの時期量産していた
”R&B風味の濃いSALSA”を代表するような1枚。
そんな一連のRMMものにおいても、トップクラスの
完成度を誇れる内容。
旧来のサルサ・ミュージックとは、異なる立ち位置で
当時、キューバにおいて爆発的に成長していた
黒いラテン・ダンス・ミュージック”TIMBA”に負けじと
若い世代にもアピールできる「新たなサルサ」を
生み出そうとしていた動きを感じます。
ワイクリフ・ジーンをひきこんで
マドンナの大ヒット「ラ・イスラ・ボニータ」(♯2)を
カヴァーしてみたり
ラップを大胆に混ぜてみたり
それを歌うコリーンが何より若々しく、「いかにも」な
ラティーナではないルックスであるという点も、
こうした音楽の路線に
適していたというところでしょう。
彼女のボーカル・スタイルは
真っ直ぐさが気持ちよい、かなりの
「こみあげ系」。
SOULな人に愛される何かを持っている人です。
多くはサルサ・ベースの曲であるにもかかわらず
「涙の女心系R&B」の名曲を聴いているときのような
印象をもたらしてくれます。
こうした新機軸を感じさせる人選とアイディアで
本アルバムを作り上げたのは、プロデューサーである
イシドロ・インファンテの技量によるところが大きいでしょう。
彼のようにサルサを愛し、深い理解でその音楽とともに
歩んできた人だからこそポップなアレンジに踏み込んでも
突拍子もない感じにならないのです。
どうしたら、サルサに新鮮味を与えて
再び刺激的な音楽に出来るのか、優秀な音楽家が
考え込んだ結果が、この2000年前後の
「新解釈SALSA」だったのでしょう。ですから
充分に現在も鑑賞に堪えうるクオリティです。
特に♯4、♯8、♯9
このあたりは、切なさを訴えかけるコリーン嬢の
女性らしい歌い回しと、ラティーナ特有の熱情というものを
共に楽しめるので気に入っているトラックですが
♯8 は曲そのものの魅力が際立っており
イシドロのアレンジにより、それがさらに人の耳をひきつける
一曲となっています(隠れた名ユニット
リカルド&アルベルトも、同曲を取り上げていますが
こちらも秀逸。併せて推薦しておきます)。
これが、私の考える「美メロ・SALSA」に
ぴったり当てはまるような曲で
そういった曲が収まっているということだけでも
これは名盤なのです。
(DJ KAZURU ★ 2006/03/27)
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