Adiós A La Tristeza 026
JUAN KEMELL Y LA BARRIADA
2005 EGREM CD-0702
1.Me Siento Libre
2.Pa’Que Se Hace
3.Adiós A La Tristeza
4.De La Noche A La Mañana
5.Ojos Pa’Mirar
6.El Gusto, El Gasto, El Costo
7.Así Natural
8.Se Me Va La Mano
9.Por Un Beso Tuyo
10.Te Equivocas
11.Muero Por Tenerte
12.Rimando Contigo
13.Las Cuatro Letras

JUAN KEMELLが大躍進。驚きの快心作を紹介します。

JUAN KEMELLのキャリアは、1992年に当時人気絶頂だったオルケスタ・レベから独立したYUMURI率いるHERMANOSのトランペッターから始まります。

YUMURI Y SUS HERMANOSはキューバ国内でヒット曲にめぐまれた後、渋谷のライブ・レストラン「ムチャーチャ」に3か月程滞在しましたが、この来日がきっかけとなってKEMELLも日本とゆかりの深いアーティストとなり、その後「アヲハタ・ジャム」のCMソングを手がけ、話題になったことがありました。

1995年のYUMURI Y SUS HERMANOSのセカンド・アルバムでは6曲を作曲し、実力が認められると1996年には独立し、自らのバンドLA BARRIADAを結成。
ファースト・アルバムをヨーロッパのレーベルからリリースしてデビューに至ります。
2作目はソロ名義で「Laberinto de Pasión」(ZACA-1001)を1997年に発表。2001年のライブ盤(NM-60712)を経て、2002年には「Rio Abajo」(CD-0534)をエグレムからリリースします。

メロディ・ラインの美しさとサルサ、メレンゲ、バチャータからバラーダまでどんな曲調も自分のものにする手腕には定評がありましたが、バンドとしての評価は特に目立ったものはありませんでした。
新宿高島屋で行われたファッション・ショーのバック・バンドを務めるために再来日するという噂を聞きつけて見に行ったこともありますが、バンドは悪くはないものの、やや小粒といった印象でした。

そんな、JUAN KEMELLの新譜ですので、それほどの期待もなく聴いたのですが、これが驚きの内容で。もし、このバンドが無名バンドならば強力な新人が登場したと絶賛されるでしょう。
この作品を、あのKEMELLね、と素通りしては彼の快心の仕事を無にしてしまうというものです。

アルバムには、Los Van Vanの女性ボーカルYenny ValdésやAngel Bonneをはじめ、数多くのミュージシャンがゲスト参加をしてバックアップ。
ほぼ全てがKEMELLのペンによるものですが、曲調はバラエティに富んでいる上に総じて高水準。
こういう作品に巡り合う機会は多いとはいえません。

各曲をみていくと、
1.Me Siento Libreはバン・バンのYenny Valdésがボーカルをとり、オープニングにふさわしく力強いナンバー。
2.Pa’Que Se Haceはラップ調で始まるティンバ。3.Adiós A La Tristezaは最近流行のキューバン・ポップ。
4.De La Noche A La Mañanaはケーメルらしい優しいメロディのサルサ。
5.Ojos Pa’Mirarはバチャータですが、けして異色な感じではなく、ケーメルらしいメロディがリズムによく乗っています。
6.El Gusto, El Gasto, El Costoはアスーカル・ネグラを彷彿とさせるティンバ。
7.Así Naturalはギターを前面に押し出したキューバン・ポップ。
8.Se Me Va La Manoは、ハードなイントロから一転してメロディアスなサルサへ。90年代のキューバンな香りが。
9.Por Un Beso Tuyoは、ケーメルのもう一方の十八番、ボレロ。キューバを訪れたことのある人はこの曲でハバナの街並みとそこに暮らす人々を思い浮かべるでしょう。
10.Te EquivocasはYenny Valdésの魅力が全開した本作品のベスト・ナンバー。
11.Muero Por TenerteはAngel Bonneが参加しているドラマティックな展開の曲です。12.Rimando Contigoはバンド・メンバーの女性ボーカルが歌いまくる曲。これもすばらしい出来です。

1枚通して聴くと、ケーメルの味わいは充分に出ているもののコンピレーションかと思うほどのバラエティー豊かな作りに驚かされます。メイン・ボーカルも次々に繰り出し、まるでパッケージ・ショーさながらです。

この作品でKEMELLは「自己ベスト」を大きく更新し、一気に大物アーティストに近づいたといえるでしょう(ジャケットも内容を反映してか、インパクトの強いデザイン)。
楽曲を構成する力とセンスに、今後も期待を寄せてしまいます。

(福田 カズノブ ★ 2005/05/30)

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