New Pa’Que Vea 056
Chispa y Los Cómplices
1999 Cuba Chévere 01-0899
1. Cómplices
2. New Pa’Que Vea
3. Amanecer En Tu Piel
4. La Que tú Querías
5. Déjate Acariciar
6. Perder el Control
7. Ellas Son Dos
8. Cómplices de Amor
9. Si Llegara el Amor a Mí
10. Viajando a la Felicidad
11. Se Van Mis Sueños
12. Cerca de Mí
13. Acaben Con To’

ティンバ最盛期の1枚、チスパ・イ・ロス・コンプリセスのデビュー・アルバムを紹介します。

1980 年代後半から NG ・ラ・バンダによって本格的にスタートしたサルサ・クバーナは、イサック・デルガード、チャランガ・アバネーラ、パウロ F.G 、マノリン・エル・メディコ・デ・ラ・サルサらを輩出し、
さらにクリマックス、バンボレオが登場したころ、サルサ・ドゥーラからティンバと呼称を変えるに至ります。
そして、第2陣としてカルロス・マヌエル、アスーカル・ネグラ、チスパが人気グループの仲間入りをした 2000 年頃に絶頂期を迎えるのです。

バンド・リーダーの Ignacio R Cervantes こと Chispa は、イラケレの門下生としてチューチョ・バルデスの元で腕を磨き、
1995 年に、Adalberto Alvarez y su Son のリード・ボーカルの一人、ロヒータスのオルケスタでベーシスト兼音楽ディレクターに就任します。
その後、1998 年に Marlin Ramazzini のアルバムを製作 (この作品は、2005 年にレア・アイテムとして日本に入荷。リーダーはチスパではないのですが、作曲、アレンジで全面参加していて、このチスパのデビュー・アルバムに入っている曲のオリジナル・バージョンともいえる演奏が3曲もあり、チスパのファン必聴の内容)。
翌 1999 年に、自己オルケスタを率いて待望のデビューを果たします。

ベーシストがリーダーのバンドといえば、有名なLos Van Van がありますが、チスパも Juan Formell 同様、作曲、アレンジの才能にあふれ、オリジナリティ溢れるバンド・サウンドを確立しました。

チスパのデビュー当時はトップ・ティンバ・バンドのフォロワーだらけで、なかなか新人バンドが特徴を出して人気を掴むのは大変な時期でしたが、彼らの登場は鮮烈で、あっという間にトップ・バンドの仲間入りをはたしました。
日本でもこのデビュー盤はミュージシャンやダンス・フリークの話題の的になっていたことを思い出します。

ベースを中心に、3人の男性ボーカルとホーン・セクションがたたみかけるように絡み合う、怒涛の展開が特徴のサウンド。いわば縦のりのティンバですが、メロディ・ラインは美しいものが多いので、ただ勢いだけという印象はありません。

このチスパをはじめ、NG ・ラ・バンダのホセ・ルイス・コルテス、バンボレオのラサロ・バルデス、クリマックスのヒラルド・ピロート、ハバナ・アンサンブルのセサール・ロペスなどに共通しているのは JAZZ 系出身ということ。
演奏能力の高さももちろんですが、アレンジにジャズの要素を加えていることが特徴的で、サルサとジャズの融合からティンバを生み出しているミュージシャン達といえます。

それでは各楽曲を見ていきたいと思います。

2曲目はタイトル・ソング。チスパ流ティンバがいきなり展開します。アタックの強いメロディ・ラインでたたみかける様な曲調です。

3曲目はチスパの代表曲ともいえるナンバー。印象的な美しいメロディは一度聴くと耳から離れません。チスパのメロディ・メーカーとしての才能が開花した名曲です。

4曲目は、曲中にキメが入りまくるティンバ。ベースを操るチスパがサウンド全体を引っ張っていることがよく分かります。

5曲目フロントの3人の男性ボーカルとホーン・セクションがファンキーに織り成す、疾走感溢れる展開を楽しめます。

8曲目チスパ流ティンバの傑作。初期のティンクーバでもヘビー・ローテーションしていました。

9曲目は3曲目同様、メロディアスなサルサ。他のティンバ・バンドとの違いとして、こういったミディアム・ナンバーの出来がよいことが挙げられます。

12 曲目はコンピレーション「 CUBAMANIA! 」にも取り上げられた曲。

全13曲、1曲1曲がしっかりしている上に、ファーストにしてチスパのベスト。
彼のこれまでのキャリアが結実した内容です。よりハードなサウンドを志向していた当時のティンバ・サウンドが到達した傑作の1枚といえるでしょう。

(福田 カズノブ ★ 2005/12/26)

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