Dark Latin Groove 064
DLG
1999 ESCA7500
1. La Quiero a Morir
2. La Soledad
3. Es Una Promesa
4. Lágrimas
5. Ya
6. Magdalena,Mí Amor
7. Juliana
8. Todo
9. La Quiero a Morir (Extended Version)


このユニットに象徴されるセルジオ・ジョージの
プロデュース業は、ある種エポック・メイキングな出来事で
それが(戸惑いつつだったとしても)N.Y.のみならず
全世界のラテン・ミュージック・シーンに色濃く影響を
及ぼしたということは、否定しようのないことだと思うのです。

ラガ、サルサ、hip-hop をベースにし
何よりも
「リアルな若い世代の音楽」 として
放たれた、新しいラテン音楽の登場。
そんなセルジオの音を
はっきりと示したのがDLG。

セルジオが手塩にかけ育て上げた
メイン・ボーカリストのヒューイ・ダンバーは
高い音域で印象を
大きく刻み付ける歌手としてはもちろん
ルックスの面でも申し分ありません。
そして
二人のラッパー、フラガンシア、ダ・バルバと
並んだ時の「黒いムード」は、明らかに
「旧サルサ・マーケット」からの脱却を
示しています。

本作において、随所にあらわれる「ラップ・パート」ですが
まるで唐突な感じがなく、バランスが見事。
新しさだけでなく
完璧に「ジャンルの調和」に成功しているということは
何よりも、まず称えられるべきことでしょう。

「サルサ+α の融合」
それ自体は、誰もが容易に
「そんな音楽あったらいいな」と
思いつくことなのですが
実際に「美しい音楽」として成立させることが
出来るか否か、が問題なのです。

セルジオは、歌手に微細な指示を与えることで
有名のようですが、彼自身が
キューバ音楽も
ブラック・ミュージックもレゲエも
徹底的に研究したのだと思われます。
その結果の
ミクスチャー・サウンドなので、薄っぺらくなく
説得力のある音楽になっているのでしょう。

さて、本作には♯1を筆頭に
大ヒットに発展した曲が多数収められていますが
TimCuba 的、推薦曲を挙げるとするならば
♯2になりますでしょうか。

これは Disc Review ♯47 で紹介した
バンボレオの作品にも
収められている”La Soledad”と同曲ですが
「効く」女声コーラスの使い方も美しく
劇的な切なさが漂う、アレンジが感動的です。
派手な曲よりも
こういった曲でこそ、このユニットの
真髄に触れられるような気がします。

同曲は、色々な歌手に取り上げられていますが
その楽曲自体の良さを感じ取っていただくためにも
バンボレオ・ヴァージョンだけではなく
イタリアの女性歌手 Giorgia.Cの" La Solitudine" も
一聴することを薦めておきます。
聞き比べて頂くことで、Sir George プロジェクトが
目指した音楽の一片なりが
見えてくることもあるのではないでしょうか。

(DJ KAZURU ★ 2006/02/20)

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