Don't Take My Coconuts 107
THE CUCUNUTS
1983 COCY 7693 ( creole )
1. Don't Take My Coconuts
2. Naughty Boy
3. Maladie d'Amour
4. Ticket To The Tropics
5. Indiscreet
6. Kriminal-Tango
7. Did You Have ToLove Me Like You Did
8. If I Only Had A Brain
9. The Glory That Was Eden

キッド・クレオール ( ことオーガスト・ダーネル ) の
トロピカルな妄想がいっぱい。

kid creole & the COCONUTS 名義のものよりも
女性 3 名を看板に打ち出した、本作のほうが
更に派手になっております。


Salsa にしかご興味のない向きは、以下全文を
お読みいただく必要が御座いませんが
ココナッツのトロピカル+ファンク+ポップな世界観を
体験しないのは勿体無いことです。

中心人物であるキッド・クレオールは
作詞・作曲もすれば、強いコンセプトの
バンドカラーを創り上げる才能もあり、魅せることを
何よりよく知っている人物。
俗悪さをも恐れずに、肩の力を抜いて耳を楽しませる
ものを提供していながら、実は真摯に音楽を見据えている
なかなかのキレ者といえましょう。
全体の音作りは
サルソウルが好きな方には非常によくわかる
感覚だと思われますが、ミクスチャーな手法という点については
現代キューバ音楽のそれをも彷彿とさせます。

大所帯で、一口には現せないような
ポップ・ミュージックを、真剣に遊んでしまっている。
そこが我々日本人には 「 米々クラブ 」 と同様の印象を
もたらすはずです。
更にキューバ音楽を愛好するあなたであれば
2000 年あたりから、急激に人気を博してきた
アルナルド・タリスマン率いる 「 アスーカル 」 が
やはり、複数の女性を矢面に立たせており
「 あれは、キッド・クレオールの踏襲型だな 」 と思われるでしょう。

スカ・カリプソ・R&B・ラガ・ファンク。。。その辺りを中心に
生楽器の分厚い音で表現。
ステージングのビジュアル面も充実を図る。
キッド・クレオールの才能の幅広さ、巧みさに巻き込まれるのは
とても心地の良いものです。

そして、私が
彼に惹かれるのは、その独特の哲学に
共感するからでもあります。

佐藤英輔氏が 80 年代、キッド・クレオールが来日した際
インタビューを行っており、その発言がまた素晴らしく
彼の哲学を端的に示しておりますので、それを
引用させていただくこととしましょう。

・・・( キッドの長年の活動について、時代の波長が
徐々に追いついてきているのではないか、と
言われたことを受けて )
「 いや、メインストリームにいるというのは
嫌うべきことだ。もし
時代が私たちに追いついてきているのなら、私たちは
全力で逃げるようにしたい。
主流なんてくそくらえ、次の時代だって、私達は
非主流のところを走っていきたい。私たちは
ずっとパイオニアでいたいのさ 」

*なお、本作品のレコード番号は、1991 年に
日本コロムビアより CD 化された時のものを採用しております。

(DJ KAZURU ★ 2006/12/20)

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